干し蕨を戻して炊いたら、山の記憶が煮物になった話

干し蕨を戻して炊いたら、山の記憶が煮物になった話

先日、山で採ってきた蕨。

「いや、君たち先週もいたよね?」
と言いたくなるくらい、次々に出てくる。

蕨って、生命力のクセがすごい。
もはや山の無限製造システムです。笑

そんな蕨をアク抜きして、
今回は天日でじっくり干してみました。

青々としていた蕨が、
太陽の光を浴びながら、だんだん細く、黒く、渋い姿に変わっていく。

見た目だけ見ると、

「これ、本当に美味しく戻るの?」

と少し不安になるんですが、
そこが干し蕨の面白いところ。

まるで山菜界の仙人。

いったん水分を抜いて、
山の氣だけをギュッと閉じ込めている感じがするんです。

そして後日。

その干し蕨を水で戻して、
油揚げと一緒に煮物にしました。

この風味、食感、旨みがギュッと凝縮されてめちゃくちゃ最高。

派手さはない。
肉汁もあふれない。
映え料理でもない。

でも、ひと口食べた瞬間に、

「ああ、これこれ」

ってなる。

蕨の香りと歯ごたえ。
油揚げが出汁を吸って、全体をやさしくまとめる。

この組み合わせ、渋いけど本当にうまい。

山に入り、蕨を採り、
アクを抜き、天日で干し、
水で戻して、出汁で炊く。

食べるまでに手間はかかるけど、
その手間の中に、食の豊かさがあるんですよね。

ただの煮物みたいな顔をして、
実は、山と太陽と水と火と人の手が入っている。

これはもう、
山の記憶を煮含めた一品です。

やっぱり自然の食はすごい。

派手な刺激じゃなく、
身体に静かに染みてくる。

食べたあと、なんだか氣分が落ち着く。

来年もまた、蕨の季節が来たら山へ行こう。
そしてまた、あのニョキニョキ生命体たちに会いに行こうと思います。

今日も山の恵みに感謝。ありがとう。

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